古物商は営業する中で3つの義務を果たす必要があります。
3つの義務とは「取引相手の確認義務」「不正品の申告義務」「帳簿等への記録義務」のことです。
もし義務を怠った場合、処罰が科せられるため義務は必ず守らなければなりません。
とはいえ、古物商初心者の中には帳簿の書き方などわからない方もいらっしゃると思います。
ここでは、防犯三大義務の1つ、帳簿の書き方について詳しく解説していきます。
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古物商の帳簿(古物台帳)とは?
古物台帳とは、一定の品目を取引する際や金額が1万円以上の古物を取引する場合に、記載・記録する台帳のことを言います。
台帳を記載する理由としては「盗品が流通した場合には、古物台帳の情報を基に捜査を行い、被害の早期解決を図る」ためです。
このように、台帳の記入は盗品を防ぐために必要な手段だといえます。
また、記載方法として「いつ」「誰から」「どんな古物を」などを、具体的に記入しておく必要があります。
古物台帳は、警察が情報を基に捜査を行う際に、被害の早期解決を図るために明確に記入する必要があるためです。
また、台帳の記入を怠った場合は懲役6ヵ月以下または30万円以下の罰金が科されます。
古物台帳の記載・記録は忘れずに行いましょう。
帳簿への記載を行ったら罰則はある?警察に捕まる?
記入を怠ったり、虚偽の記録を記入した場合は取引義務違反となり「懲役6カ月以下または30万円以下」の罰金です。
状況によっては、両方の罰則を科せられることもあります。
また、営業停止命令が下されたり、古物商許可の取り消しの処分を受ける可能性もあります。
帳簿の保存期間は?
帳簿の保管期間は3年です。正確には帳簿に最終を記載をした日から3年間です。
古物営業法 第18条
古物商又は古物市場主は、前二条の帳簿等を最終の記載をした日から三年間営業所若しくは古物市場に備え付け、又は前二条の電磁的方法による記録を当該記録をした日から三年間営業所若しくは古物市場において直ちに書面に表示することができるようにして保存しておかなければならない。
引き用元:https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=324AC0000000108
もしも、帳簿を紛失したり、棄損した場合は管轄の警察署に届ける必要があります。
古物商の帳簿に記載が必要な取引
古物商の帳簿に記載が必要な取引は以下の通りです。
- 買取時(仕入)に記載義務のある取引
- 販売時(売却)に記載義務のある取引
ここでは、それぞれの取引について解説していきます。
買取時(仕入)に記載義務のある取引
買取時の記載義務のある取引は、1万円以上の古物を買取した場合です。
ただし、古物によっては、1万円未満でも記載が必要なものもあります。
- オートバイ
- ゲームソフト
- 書籍
- CD,DVD
これらの古物の記載理由については、万引きなどの犯罪が多いためです。
買取時の記載については、1万円以上の古物だけではないため、取引する際は商品を必ず確認しておきましょう。
販売時(売却)に記載義務のある取引
古物を販売する際の記載義務は、買取時に比べて条件も厳しくありません。
基本的に、売却する場合の記載は免除されています。
免除理由として、売却と買取では盗品が流入する確率としては買取時の方が高いためです。
ただし、以下の6項目については記載が必要です。
- 自動二輪
- 原動付き自転車
- 自動車
- 時計
- 美術品
- 宝飾品類
古物台帳に記載が必要な場合の一覧表
ここでは金額別で記載が必要な古物について、お伝えしていきます。
金額の条件は、売買の価格が1万円以上と1万円以下の2つのパターンです。
こちらの、2つのパターンを一覧表として説明していきます。
売買の価格が1万円以上の場合
売買の価格が1万円以上の場合は以下の通りです。
売買古物の種類 | 買取の際の身分確認 | 帳簿の記入(買取時) | 帳簿の記入(売却時) |
例外品以外の古物 | 確認する | 記載する | 免除 |
時計・宝石類 | 確認する | 記載する | 記載する |
宝石品類・時計 | 確認する | 記載する | 記載する |
自動車(部品含む) | 確認する | 記載する | 記載する |
自動二輪車(部品含む) | 確認する | 記載する | 記載する |
原動機月自動車(部品含む) | 確認する | 記載する | 記載する |
1万円以上の古物を売買する場合は、以上の項目を参考にしてください。
売買の価格が1万円以下の場合
続いて、1万円以下の場合は以下の通りです。
売買古物の種類 | 買取の際の身分確認 | 帳簿の記入(買取時) | 帳簿の記入(売却時) |
例外品以外の古物 | 免除 | 免除 | 免除 |
自動二輪 | 確認する | 記載する | 記載する |
部分品のうちフレーム、ハンドル、エンジン、タイヤ等 | 免除 | 免除 | 免除 |
部分品のうちボルト、ネジ、コード等 | 確認する | 記載する | 免除 |
原動機付自転車 | 確認する | 記載する | 記載する |
家庭用コンピューターゲームソフト | 確認する | 記載する | 免除 |
書籍 | 確認する | 記載する | 免除 |
CD、DVD、ブルーレイディスク | 確認する | 記載する | 免除 |
1万円以下の古物を売買する場合は、1万円以上に比べ売却部分で免除されることが多いです。
古物台帳はどこで買える?いくらくらい?
古物台帳は、都道府県の防犯協会から購入することが出来ます。
金額は各都道府県で違いますが、東京都古物商防犯協力会連合会で購入した場合は2,860円です。
とはいえ、古物台帳の様式は法令で決まっていますがエクセルなどの自作で台帳を作成しても問題ありません。
防犯協会での購入手続きや、自作で作るのがめんどくさい方には、楽天やYahoo!などのネットショップから購入可能です。
古物帳簿の書き方
古物帳簿の記入方法は古「受入れ」と「払出し」に分かれています。
受入れとは買取時に、払出しは販売する際に記入します。
ここでは、2つの書き方を詳しく説明していきます。
受入れ欄の書き方
受入れ欄の書き方は以下の通りです。
項目 | 記載内容 |
年月日 | 古物を仕入れた日付 |
区分 | 買受・委託・交換いずれかを記載 |
取引した古物 | 仕入れた古物の品目・特徴・数量・代価を記載 |
相手方の真偽を確認するためにとった措置の区分(及び方法) | 仕入れ相手の本人確認をしたときにとった方法を記載 |
取引相手 | 古物の仕入れ相手の住所・氏名・職業・年齢を記載 |
特に、取引した古物や仕入れ相手の確認方法については、詳しく記入しなければなりません。
もし、自動車を仕入れた場合は以下の情報を記入する必要があります。
- 特徴に自動車登録番号または車両番号まで記載
- 仕入れ相手の情報を記載する際には運転免許証の公安委員会名、免許番号まで必要
細かく記載する必要がありますが、提出時に差し戻される可能性があるため、確実に記入しておきましょう。
払出し欄の書き方
続いて、払出し欄の書き方は以下の通りです。
項目 | 記載内容 |
年月日 | 古物の売買、破棄、使用、返還した日付 |
区分 | 売却・廃棄・自家使用・返還のいずれかを記載 |
代価 | 古物の売値 |
取引相手 | 古物を売った、または返した相手の住所・氏名を記載 |
このように、払出し欄の場合は6項目を記入する必要があります。
売却・廃棄・自家使用・返還を確認して、払出し欄を記入しましょう。
帳簿に書かなくてもいい免除される取引は?
帳簿に書かなくてもいい取引は以下の通りです。
- 対価の総額が1万円未満の場合
- 一部の古物以外は、売却の場合だけ記録が免除
- 国家公安委員会規則で定める古物を引き渡した場合
- 古物商自身が売却した物品を当該売却の相手方から買い取る場合
売買の総額が1万円未満での取引では、一部の古物以外は記録義務が免除されます。
ただし、以下の古物に関しては1万円未満でも取引の記録義務が必要です。
- 自動二輪車及び原動機付自転車
- テレビゲーム、パソコンゲーム等のゲームソフト
- 音楽や映画のCDやDVD、レーザーディスクやブルーレイディスクなど
- 書籍
これらの古物に関しては、記載が1万円未満でも記載が必要なため注意しましょう。
また、一部の古物については、売却の記載だけ免除になるものもあります。
- 美術品類
- 時計、宝飾品類
- 自動車
- 自動二輪車及び原動機付自転車(総額が1万円未満の部品は除く)
これらの古物以外については、買い取る場合のみ古物台帳の記入が必要です。売却する場合は必要ありません。
古物商の防犯三大義務を厳守しよう
古物商の防犯三大義務は以下の通りです。
- 取引相手の確認義務
- 不正品の申告義務
- 帳簿等への記録義務
古物商はこれらの義務を果たす必要があり、もし怠った場合は罰則を科せられます。
それぞれ内容や罰則が違うため、確認しておきましょう。
取引相手の確認義務
古物の取引をする場合は、取引相手の本人確認が必要です。
ただし、1万円未満の取引の場合(自動二輪車、原動機付自転車などは除く)については必要ありません。
もし取引相手の本人確認義務を怠ると、営業停止処分や許可の取り消し処分になる可能性があります。
さらに、6カ月以下の懲役、又は30万円以下の罰金を科せられる場合もあるため本人確認は必ずしておきましょう。
不正品の申告義務
取引している際に、古物が盗難品等の疑いがある場合には、警察官に申告しなければいけません。
もしも、盗難品と疑いつつも取引をした場合や、警察に申告しなかった際は、営業停止命令や取消命令になる可能性があります。
また、盗難品だと認識して取引をした場合、盗品有償譲受罪や盗品保管罪です。
その際、10年以下の懲役及び50万円以下の罰金が科せられます。
帳簿等への記録義務
古物商は、古物の売買を行った際に、帳簿又は電磁的方法により記録して保存(3年間)する必要があります。
取引記録を怠ったり、虚偽の記録などを正しく記載しないなど、取引記録義務違反になった場合は以下の罰則です。
- 営業停止処分や許可の取り消し処分
- 6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金(あるいはその両方)
古物商許可を取得後に「台帳への書き方が分からなかった」などの言い訳は通用しないため必ず記録をしておきましょう。
記載に関しては、1万円未満の取引の場合(自動二輪車、原動機付自転車などは除く)は必要ありません。
【まずい?】帳簿をなくしてしまったらどうすればいい?
帳簿を紛失した場合やデーターが消えた場合は警察署に届け出が必要です。
古物営業法 第18条2項
古物商又は古物市場主は、前二条の帳簿等又は電磁的方法による記録をき損し、若しくは亡失し、又はこれらが滅失したときは、直ちに営業所又は古物市場の所在地の所轄警察署長に届け出なければならない。
引用元:https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=324AC0000000108
届け出をする警察署については、営業を拠点とする警察署で受付を行なってくれます。
もしも、紛失したまま放置した場合、6ヵ月以下の懲役または30万円以下の罰金です。
紛失した場合は、必ず警察に届け出をしておきましょう。
古物商の帳簿の書き方まとめ
この記事では古物商の帳簿の書き方について解説しました。
古物帳簿の記録・記載は防犯三大義務の1つです。もしも怠った場合は罰則になるため忘れずに記載しておきましょう。
また書き方については、受入れと払出しによって記載方法が違うため、記事で説明した記載方法を参考にしてください。
古物の中には記載しなくても、問題ないものもありますが、帳簿の記載は盗品等の売買の防止と被害の迅速な回復が目的です。
事件解決や犯罪防止の手伝いとして考えるなら、全ての取引古物の取引記録を残しておくことが望ましいでしょう。
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