古物営業法に違反すると、罰金や懲役などのペナルティーが科されます。
古物商を行うにあたり、古物営業法を必ず守る必要があります。
古物営業法の違反は、大きくわけて以下の2つです。
- 古物商許可を取得していない、もしくは正しく取得していない場合
- 古物商の義務を守れていない場合
本記事では、古物営業法の代表的な違反と、違反した際のペナルティーを解説します。
古物商許可を取得していても古物営業法違反となる可能性があるため、違反内容をよく知りましょう。
違反内容を知って、正しい古物の取引を行いましょう。
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「古物営業法」のおさらい
古物営業法とは、古物の取引ルールを定めた法律です。
古物営業法の目的は、以下の古物営業法で規定されています。
古物営業法第一条(目的)
この法律は、盗品等の売買の防止、速やかな発見等を図るため、古物営業にかかる業務について必要な規制等を行い、もって窃盗その他の犯罪の防止を図り、およびその被害の迅速な回復に資することを目的とする。
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=324AC0000000108
商品を換金できる古物の取引は、盗品などの犯罪被害品が持ち込まれる可能性が高いです。
規制を設けなければ、犯罪被害品が流通するだけでなく、犯罪を助長する恐れがあるといえます。
古物営業法によって古物の取引を規制して、以下を達成する目的があります。
- 不正品の売買や流失の防止
- 窃盗などの犯罪の防止
- 犯罪の早期解決
- 迅速に回復できる社会を築く
古物営業法によって古物商に課される義務は、犯罪防止と事件の早期解決につながるのです。
古物営業法の違反の種類
古物営業法を守らなければ、違反行為に該当します。
以下は、古物営業法の代表的な違反です。
- 古物商許可の名義借り
- 許可申請書等虚偽記載
- 本人確認義務の違反
- 取引記録義務の違反
- 不正品申告義務の違反
違反内容を知っておかなければ違反する恐れがあるため、違反内容を知っておきましょう。
古物商許可の名義借り
名義借りとは、古物商許可を取得している人が、取得していない人に名義を貸して古物取引をさせる違反行為をいいます。
古物営業法違反となる古物商許可の名義借りの具体例は、以下のとおりです。
- 古物商が自分の名義を貸す
- 古物商許可を取り消された人が、別の人の名義を借りて古物取引を行う
- 法人名義で取得した古物商許可を使って、個人で古物取引を行う
- 個人名義で取得した古物商許可を使って、法人が古物取引を行う
懲役3年または最大100万円の罰金か、両方が科されます。
古物商許可の名義借りは、古物営業法でもっとも重い罰則が科されます。
借りた側は、無許可営業という古物営業法の違反行為に該当します。
貸した側と借りた側の両方が、罪に問われるため注意が必要です。
許可申請書等虚偽記載
許可申請書等虚偽記載とは、古物商許可を取得するためにウソの情報で申請する違反行為です。
古物営業法の第三十一条二項で、以下のとおり定められています。
第三十一条 次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
二 偽りその他不正の手段により第三条の規定による許可を受けた者
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=324AC0000000108
懲役3年または最大100万円の罰金か、両方が科されます。
さらに、場合によっては「欠格要件」に該当する恐れもあるのです。
古物商許可の欠格要件となれば、5年間は古物商許可の取得ができず古物商としての営業や活動ができません。
古物商許可を取得する際は、必ず正しい情報で申請しましょう。
本人確認義務の違反
古物営業法で古物商に課される義務のひとつが、古物を仕入れる際の取引相手の本人確認です。
原則として、取引金額が1万円未満である場合以外は、必ず本人確認を行う必要があります。
取引相手の情報を確認するのを怠ると、本人確認義務の違反です。
古物営業法で確認する必要のある情報は以下の4つです。
- 氏名
- 住所
- 職業
- 年齢
対面時・非対面時ごとによって定められた方法で、本人確認を行います。
最大6か月の懲役または最大30万円の罰金か、両方が科されます。
ただし、取引金額が1万円未満であっても、下記の古物は本人確認が必要です。
- 家庭用ゲームソフト
- 自動二輪車および原動機付自動車
- 書籍
- CD、DVD、ブルーレイディスク、レーザーディスク
念のため、1万円未満の取引でも本人確認をするのがおすすめです。
取引記録義務の違反
古物商には、古物の取引の内容を古物台帳(帳簿)に記録する義務があります。
記録を怠ったりウソの情報を記録したりすると、取引記録義務の違反です。
古物営業法で記録する情報として、以下があげられます。
- 取引年月日
- 取引内容(数量や価格など)
- 古物の内容(名称や特徴など)
- 取引相手の情報(氏名・住所・職業・年齢)
- 本人確認に用いた方法
最大6か月の懲役または最大30万円の罰金か、両方が科されます。
ほかにも、古物の取引内容を記録した古物台帳に決まりがあります。
古物台帳は、最低3年間保管する義務があります。
さらに古物台帳を紛失・破損した場合は、警察署へ届け出なければいけません。
保管・届け出を怠った場合も、取引記録義務の違反に該当します。
不正品申告義務の違反
古物商には、不正品(盗品・偽物)の疑いがある場合は警察に報告する義務があります。
報告しなければ、不正品申告義務の違反です。
最大6か月の懲役または最大30万円の罰金か、両方が科されます。
以下のような場合、不正品だと疑われるため報告しなければいけません。
- 同じ品が、大量に古物として持ち込まれる
- 値札などのタグがついたままの品が、古物として持ち込まれる
- ブランドやメーカーのロゴがおかしい
- 取引相手の挙動が不自然
また、窃盗事件などが起きた際、警察から協力を求められる場合があります。
警察の協力に応じなければ、罰則の対象です。
求められた情報は、正確に警察へ提供しましょう。
古物営業法に違反した場合のペナルティー
古物営業法に違反すると、違反内容に応じたペナルティーが科されます。
代表的なペナルティーは、以下のとおりです。
- 最大3年の懲役 or 最大100万円の罰金
- 最大6か月の懲役 or 最大30万円の罰金
- 行政処分
ペナルティーとあわせて、該当する違反行為を解説します。
最大3年の懲役or最大100万円の罰金
最大3年の懲役または最大100万円の罰金に科される違反行為は、以下のとおりです。
- 無許可営業
- 古物商の名義貸し
- 不正手段などによる許可の取得
- 営業停止命令違反
場合によっては、懲役と罰金の両方が科される恐れがあります。
とくに注意すべきは、無許可営業です。
無許可営業とは、古物商許可を取得せずに古物の取引する行為をいいます。
しかし、古物商許可を取得している人でも、無許可営業をしてしまう可能性があるのです。
以下に該当する場合、変更手続を必ず行わなければいけません。
- 個人から法人営業に切り替える場合
- 営業許可を得た都道府県とは別の都道府県で営業する場合
古物商許可の変更届は、管轄している警察署に提出しましょう。
営業所を変更する場合の申請先は、移転元の警察署です。
最大6か月の懲役or最大30万円の罰金
最大6か月の懲役または最大30万円の罰金に科される違反行為は、以下のとおりです。
- 確認等義務違反
- 帳簿等記載等義務違反
- 帳簿等備付け等義務違反
- 帳簿等毀損(きそん)等届出義務違反
- 品触れ相当品届出義務違反
- 差止め物品保管義務違反
6つの違反を簡単に説明します。
古物商には、買い取った古物や買い取り相手の情報を記録する義務があります。
さらに記録した情報は、最低でも3年間は保管が必要です。
記録・保管を怠った場合や、情報を紛失した際に届け出を怠った場合、違反行為に該当します。
本人確認の方法と記録方法は、国家公安委員会の規則で定められています。
また、古物商は窃盗事件が発生した際、警察へ協力しなければいけません。
警察が指定した物品の取引や物品が持ち込まれた際の報告を怠ることも、違反行為に該当するため注意しましょう。
行政処分
古物営業法に違反した場合、刑罰と行政処分があわせて科される可能性があります。
「行政処分」とは、公安委員会(警察)から科される処分です。
裁判所から科される懲役や罰金は、「刑罰」といいます。
行政処分の内容は、以下の3つです。
- 古物商許可の取り消し
- 営業停止(営業のすべてか一部を、最長6か月間停止する処分)
- 指示(営業停止になるような違反行為を文章で注意し、改善を促す処分)
古物商許可の取り消しを受ける可能性のある違反行為として、以下があげられます。
- 名義貸し
- 不正に許可を受ける行為
- 営業停止命令違反
- 古物営業の実態が6か月以上ない
- 古物商の所在が3か月以上不明
- 許可を受けたあと、不格要件に当てはまったとき
古物商の行政処分で一番重い処分は「古物商許可の取り消し」です。
古物営業法違反の種類とペナルティーまとめ
古物営業法の目的は、不正品の売買や事件の早期解決です。
そのため、古物商にはいくつかの義務やルールが設けられます。
以下は古物商の防犯三大義務と呼ばれている、重要な義務です。
- 取引相手の確認義務
- 不正品の申告義務
- 帳簿等への記録義務
いずれも、不正品の売買や事件の早期解決に欠かせない義務です。
警察に協力を求められた場合、取引で得た情報をすぐに提示できるようにします。
さらに、警察から指定された物品が持ち込まれた場合、警察に報告しなければいけません。
義務やルールに違反した際は刑罰か行政処分、もしくは併科されるため十分に注意しましょう。