利益目的の転売を古物商許可なしで行うのは違法です。
古物商許可は古物を売買するために必要な許可です。しかし、「個人での転売には必要ない」「フリマサイトでの転売なら必要ない」と誤解している方がいます。
個人でもフリマサイトでも、利益目的であれば古物商許可は必要です。無許可営業をすると、ペナルティが課されます。
本記事では、古物商が転売で必要な理由や違反時のペナルティ、古物商の取得方法などを解説します。
うっかり法律違反をしないように、古物商について理解を深めましょう。
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メルカリやヤフオクで転売ヤーになるなら古物商は必須?いらない?
結論から言うと、必須です。
古物商とは、古物営業法に規定されている古物を売買する業者・個人を指します。古物商として営業するには、古物商許可が必要です。
「古物商として営業する」とは「利益目的で古物を売買する行為」を指します。転売ヤーは利益目的で商品を売買するため、古物商許可が必要です。
利益目的で転売を考えている方は、古物商許可を取得しておきましょう。
メルカリやオークションで古物商なしで転売したらバレる?
バレる可能性が高いです。
最近、ゲーム機の買い占めによる高額転売が問題になっています。世間的に転売に悪い印象があるため、最近は特に取り締まりが厳しいです。
無在庫販売やツールを使った大量出品なども規制の対象になりました。利益を定期的に上げていれば目を付けられる可能性は高いです。
古物商なしでの転売がバレるのも、時間の問題でしょう。
転売で古物営業法に違反したときのペナルティは?
「バレてもペナルティがなければ、古物商なしでも利益目的で転売していいのでは?」
上記のように思う方もいるでしょう。しかし、古物営業法に違反すると、2つの重いペナルティがあります。
- 罰則
- 行政処分
罰則
主な罰則は下記のとおりです。
違反行為 | 罰則 |
---|---|
無許可営業 | 懲役3年以下または100万円以下の罰金もしくはその両方 |
名義貸し | 懲役3年以下または100万円以下の罰金もしくはその両方 |
取引場所の制限違反 | 懲役1年以下または50万円以下の罰金もしくはその両方 |
古物商市場における古物商間以外の取引 | 懲役6ヵ月以下または30万円以下の罰金もしくはその両方 |
古物許可証携帯義務違反と行商従業者証携帯義務違反 | 30万円以下の罰金 |
古物商許可標識掲示義務違反 | 30万円以下の罰金 |
古物営業法に違反すると、重い罰則があります。
特に、古物商許可を得ていない状態で利益目的の転売をする「無許可営業」は、「名義貸し」と並び一番重い罰則です。
行政処分
主な行政処分は下記のとおりです。
行政処分 | 対象行為 |
---|---|
許可の取り消し | ①虚偽や不正な手段により許可を受けた ②許可の基準に違反している ③6か月以上営業していない ④許可を受けた者の所在が不明 |
営業停止 | ①古物営業法に違反し、盗品等の売買等の防止若しくは盗品等の速やかな発見が著しく阻害されるおそれがある場合 ②公安委員会から受けた処分に違反した場合 |
指示 | ①古物営業法に違反し、盗品等の売買等の防止若しくは盗品等の速やかな発見が著しく阻害されるおそれがある場合 |
古物営業法に違反すると、公安委員会による行政処分の対象となる場合があります。
最も重い「許可の取り消し」を受けると、取り消し処分後5年間は、再度古物商許可を受けられません。
しばらく古物商として営業できなくなってしまうため、十分注意しましょう。
古物商のメリットが大きいから絶対に取得したほうがいい!
古物商なしでの利益目的の転売は、罰則や行政処分の対象になってしまうため古物商の取得が必須です。
しかし、古物商を取得する理由はそれだけではありません。古物商の取得はメリットが大きいです。
古物商を取得するメリットは、大きく下記の4つです。
- 古物の売買ができる
- 古物市場に参加できる
- 税金を安く抑えられる
- 関係会社からの信頼が上がる
古物商を取得していれば、法律違反の心配なく経営に専念できます。
また、古物商を取得した人しか参加できない「古物市場」への参加が可能です。一般では出回らない商品が売買され、情報も仕入れられます。
さらに、古物商の有無で払う税金額が変わります。それぞれの課税対象額は下記のとおりです。
古物商を取得していると関係会社からの信頼も得られるため、取得のメリットは大きいです。下記記事で詳しく説明していますので、ご覧ください。
古物商許可はどうやって取得すればいい?
古物商許可の取得は、難しくありません。
主たる営業所が存在する都道府県公安委員会に、申請書や住民票などの必要書類を提出すれば取得できます。
古物商許可の基準は11項目ありますが、厳しい基準はありません。そのため、他の申請許可と比べて古物商許可は取得しやすいと言われています。
各公安委員会によりますが、許可が下りるまでだいたい数週間~2ヶ月程度かかります。
注意点として、古物商許可を取得してから6ヶ月経っても営業を始めないと古物商許可を取り消されてしまいます。
そのため、開業日が決まってからの取得がおすすめです。
どっち?古物商が転売で必要なとき・必要ないとき
転売をするときに、古物商が必要なときと必要ないときがあります。
知らず知らずのうちに法律違反をしないよう、把握しておきましょう。
転売で古物商が必要!
転売で古物商が必要なケースは、下記のとおりです。
- 転売目的で買ったものを転売する
- 売ったお客様以外の場所から買い戻す
- 他の業者が輸入したものを買い取って転売する
- 古物を買い取ってレンタルで使用する
主に利益目的で転売をするのであれば、古物商が必要です。
また、商品を売ったお客様が他の場所に転売したものを買い戻すときにも古物商がないといけません。
知らないとうっかり違反してしまう項目もあるため、確認しておきましょう。
転売で古物商が不必要
転売で古物商が不必要なケースは、下記のとおりです。
- 自分で使うために買ったものを転売する
- お客様から買い戻したものを転売する
- 無償で引き取ったor処分手数料等を徴収して引き取ったものを転売する
- 外国で買い付けて国内で転売する
- 製造・販売メーカーから直に新品を購入してレンタルする
主に利益目的でない場合、古物商は不必要です。
しかし、利益目的でも外国から買い付けたものを国内で転売するのはOKなど、ややこしい部分もあります。
今の自分の状況と照らし合わせて判断しましょう。
転売と古物商に関するよくある質問
古物商は比較的取得しやすいですが、わかりづらい部分も多いです。最後に、転売や古物商に関してよくある質問に回答していきます。
回答する質問は下記の5つです。
- 新品なら何でも転売していい?
- そもそも「古物商」とは?
- 転売で古物商はいくらから必要になる?
- 個人の転売ヤーでも古物商は取得できる?
- 古物営業法違反とみなされてしまう理由
新品なら何でも転売していい?
いいものとダメなものがあります!
新品の転売自体はいいのですが、転売してはいけないものがあります。代表的なものは下記の3つです。
- チケット(チケット不正転売禁止法)
- 偽物のブランド品(商標法)
- 酒などのアルコール(酒税法)
すべて法律で定められており、上記のものを転売すると法律違反になります。
そもそも「古物商」とは?
古物商とは、古物営業法に規定されている古物を売買する業者・個人を指す言葉です。「古物」は、古物営業法の第二条で下記のように定義されています。
第二条 この法律において「古物」とは、一度使用された物品(鑑賞的美術品及び商品券、乗車券、郵便切手その他政令で定めるこれらに類する証票その他の物を含み、大型機械類(船舶、航空機、工作機械その他これらに類する物をいう。)で政令で定めるものを除く。以下同じ。)若しくは使用されない物品で使用のために取引されたもの又はこれらの物品に幾分の手入れをしたものをいう。
引用:https://elaws.e-gov.go.jp/
簡単に言えば中古品です。「古物」を扱っている例として、リサイクルショップや古本屋などが挙げられます。
最近は副業でせどりを始める人も多く、古物商は人気です。
転売で古物商はいくらから必要になる?
転売で生計を立てられるようになったら必要です。
厳密に「いくら稼いだら古物商が必要」という基準は決まっていません。基準としては、利益目的で転売をしているなら古物商が必要になります。
利益目的で転売をしているかは判断が難しいですが、最終的に警察が判断します。
第三者目線から見て転売で生計を立てているレベルであれば、利益目的と判断される可能性が高いです。
そのため、転売で生計を立てられるくらい利益を出していれば、古物商は取得しておきましょう。
個人の転売ヤーでも古物商は取得できる?
個人でも取得できます。
古物商は、個人でも法人でも取得可能です。ただ、個人の古物商と法人の古物商は別で取得する必要があります。
個人・法人の両方で古物商の営業を考えている方は注意しましょう。
古物営業法違反とみなされてしまう理由
利益目的と判断されるからです。
利益目的での売買でなければ古物商なしでいいのですが、利益目的で売買しているかを判断するのは難しいです。
最終的には警察が利益目的と判断すれば、無許可営業で古物営業法違反とみなされてしまいます。
出品量が多くなったり売却金額が大きかったりすると、利益目的と判断されやすいです。
生計を立てられるレベルだと、ほぼ間違いなく利益目的と判断されるため注意しましょう。
転売でお金を稼ぐなら古物商許可は必須!
利益目的で転売を行う場合は、古物商許可は必須です。最近は規制が厳しいため、バレる確率も高くなっています。
古物営業法の違反は罰則や行政処分の対象なので、注意が必要です。
古物商許可を取得していると、古物市場に参加できる、税金を安く抑えられるなどのメリットがあります。
古物商許可の取得は難しくないため、転売でお金を稼ぐと決めた時点で取得しておきましょう。